ウルセラ(Ultherapy)とサーマクール(Thermage)は、美容医療で使われる機器の名称です。この記事では、韓国の許可記録で確認できるUltherapy PRIMEとThermage FLXを対象に、仕組みと公式資料の読み方を比較します。韓国の記録ではThermage FLXに「써마지FLX」「써마지」という名称も併記されています。韓国MFDS:PRIME ↗・韓国MFDS:FLX ↗

大きな違いは、PRIMEが集束超音波、FLXがRF(高周波)を使うことです。以下では、米国資料による機能説明、韓国の許可情報、日本で確認できた公開情報を分けて読みます。これらは両機器を同じ条件で比べた試験ではなく、効果や痛み、回復の速さ、誰に向くかの優劣を決める資料ではありません。PRIME使用説明書 ↗・FLXのFDA資料 ↗・Thermage米国安全情報 ↗

超音波とRFは、熱の加え方が違う

PRIMEは集束超音波のエネルギーが吸収される際の加熱で、局所的な熱凝固点をつくります。FLXはRFのエネルギーで組織を凝固させながら、表皮を冷却します。「凝固」は、ここでは熱によって組織に変化を起こすことを指します。名称が似た美容施術として並んでいても、使うエネルギーと熱の加え方が異なります。PRIME使用説明書 ↗・FLXのFDA資料 ↗

比較する項目Ultherapy PRIMEThermage FLX
仕組みの参照資料米国の使用説明書米国FDA提出資料・米国公式安全情報
使うエネルギー集束超音波RF(高周波)
熱の加え方超音波の吸収による加熱で、局所的な熱凝固点を形成RFによる組織の凝固と、表皮の冷却
施術中に確認・調整する機能超音波画像で組織、接触状態、適切な治療深度を確認皮膚との接触を監視し、インピーダンスに応じてRFを調整
数字を読むときの注意画像の観察範囲と、プローブごとの治療深度は別RFの電気的な調整は、超音波画像の観察深度とは別の情報
目の周辺の条件超音波が眼に届く使い方を避けるチップの種類と眼球保護具に条件がある

表はPRIME使用説明書 ↗、FLXのFDA資料 ↗、Thermage米国安全情報 ↗による整理です。仕組みの違いから「こちらのほうが効く」「こちらなら痛くない」とは判断できません。両機器の効果・痛み・回復・持続期間を比べるには、対象部位や設定、評価方法などをそろえた比較が必要ですが、今回の資料はその直接比較ではありません。

「見える」のは組織と接触状態

PRIMEのDeepSEEは、皮膚や皮下組織の超音波画像を見て、接触状態と適切な治療深度を確認する機能です。FLXの接触監視とRF調整は、組織を超音波画像で見る機能とは異なります。PRIME使用説明書 ↗・FLXのFDA資料 ↗

PRIMEの「最大8mm」は画像で観察する範囲の説明です。プローブごとの治療深度である1.5・3.0・4.5mmとは意味が違い、「8mmまで照射する」という読み方はできません。画像で確認する範囲と、エネルギーを作用させる深度を分けると、可視化の役割を理解しやすくなります。PRIME使用説明書 ↗

Ultherapy PRIMEの集束超音波による作用と、超音波画像で組織・接触状態を確認する役割を分けた概念図。実際の照射形状・深度・出力や結果は示していません。
Ultherapy PRIMEの集束超音波による作用と、超音波画像で組織・接触状態を確認する役割を分けた概念図。実際の照射形状・深度・出力や結果は示していません。編集図 · 制作:MIRO編集部

一方、FLXは皮膚との接触を監視し、インピーダンスに対応してRFを調整します。インピーダンスは、ここでは電流の流れにくさに関わる指標です。これは電気的な状態に応じた調整であり、PRIMEの組織画像とは確認している情報が異なります。FLXのFDA資料 ↗

Thermage FLXのRFによる作用と表面冷却を整理した概念図。解剖学的な深さや設定、無痛・熱傷回避を示すものではありません。
Thermage FLXのRFによる作用と表面冷却を整理した概念図。解剖学的な深さや設定、無痛・熱傷回避を示すものではありません。編集図 · 制作:MIRO編集部

画像確認や冷却は、それぞれの機器の機能です。ただし、公式資料には熱傷や瘢痕なども記載されています。「見える」「冷やす」という説明を、危険がなくなるという意味に置き換えることはできません。PRIME使用説明書 ↗・Thermage米国安全情報 ↗

韓国の許可記録と、米国・日本の案内を分ける

韓国では機器の許可記録とモデル名を確認できます。米国資料に書かれた用途は米国の情報であり、日本では今回確認できた提供機関の公開文と、公的なモデル別承認判定を分けて扱う必要があります。

韓国MFDSの公開記録は、次のように表示されています。

韓国の公開記録PRIMEFLX
許可番号수허09-1024호수허18-245호
モデル名Ultherapy PrimeTG-3A
製品名の表示Ulthera system、Ulthera Prime、Ultherapy PrimeThermage FLX System、써마지FLX、써마지
状態表示정상(正常)정상(正常)
品目許可日2009年10月13日2018年8月21日

出典:韓国MFDS:PRIME ↗・韓国MFDS:FLX ↗。PRIMEの記録にある品目許可日を、PRIMEモデルが初めて許可された日とは断定できません。

韓国での用途について、Merzの韓国ページはPRIMEを、眉・緩んだあごのライン・胸上部のリフト、デコルテのしわ改善に使用する許可医療機器として説明しています。これはメーカーによる許可用途の案内であり、FLXとの比較効果を示す独立した臨床研究ではありません。一方、今回のFLXのMFDS公開一覧には使用目的の詳細がないため、そこから韓国での許可部位を追加して説明することはできません。Merz韓国 ↗・韓国MFDS:FLX ↗

米国のPRIME使用説明書には、眉、あご下・首、デコルテに加え、腹部・上腕前後・膝の用途が記載されています。この記載を韓国や日本の承認用途として読むことはできません。また、FDAのK233996にある2024年2月22日の実質的同等性判断だけで、現行使用説明書のすべての用途の判断日を確定することもできません。PRIME使用説明書 ↗・FDA:K233996 ↗

米国のFLX資料では、RF単独と振動併用で用途の欄が分かれています。上下まぶたが明記されるのはRF単独の欄です。セルライト外観の一時的改善などは振動併用の欄にあり、「FLX」という名前だけで、すべてのモードや部位の条件を一括りにはできません。FLXのFDA資料 ↗

日本については、湘南美容クリニックが2026年1月16日のPRIME公開文で「日本国内においては薬事未承認」と説明し、東京美容皮膚科クリニックもFLXのページで、その治療に用いる医薬品・医療機器は国内で薬機法上の承認を受けていないと公開しています。ここで確認できるのは、各提供機関による自己開示です。今回の調査では、日本の現行モデル別の承認状態・承認番号・用途を公的記録で確定していません。この未確認は、それ自体が未承認の証拠になるものではありません。PRIMEの提供機関公開文 ↗・FLXの提供機関公開文 ↗

日本の2017年のサーマクールに関する注意喚起は、改造チップの破損によるやけどを扱った資料です。現行FLXやPRIMEの承認状態を判定する資料ではありません。また、2024年のHIFU通知は、対象行為を非医師が業として行えば医師法第17条に違反すること、医師が行う場合の場所を医療提供施設とすることを示しています。これは個別モデルの承認や、韓国での実施条件を示す通知とは別です。2017年の注意喚起 ↗・厚生労働省のHIFU通知 ↗

資料を読むときは、国・正式なモデル名・用途や部位・使用モード・資料の日付を一組で確認すると、別の国や別モデルの説明を混ぜずに整理できます。

回復の目安と、長引く可能性のある症状

両機器の公式資料には、痛み・赤み・腫れに加え、熱傷や瘢痕、感覚・神経症状などが記載されています。経過の数字は部位や資料の種類が異なるため、回復の速さの順位にはできません。PRIME使用説明書 ↗・Thermage米国安全情報 ↗

PRIME使用説明書の顔・首の評価では、赤みは通常数時間、腫れは3〜72時間、神経症状は2〜6週間という経過が記載されています。痛み、不快感、圧痛、あざのほか、不適切な手技による熱傷や永久的な瘢痕の可能性も示されています。これらは各症状についての記載であり、「その期間内に必ずすべて回復する」という意味ではありません。PRIME使用説明書 ↗

同じPRIME資料でも、デコルテでは腫れが通常3〜48時間、感覚低下・異常感覚が4日〜5週間、ピリピリ感が3〜5日、かゆみが1〜3週間とされています。腹部・上腕・膝の文献検討では、記載された症状の経過は数時間〜2週間です。顔・首の数字を別の部位へそのまま当てはめることはできません。PRIME使用説明書 ↗

さらに、市販後情報には熱傷・水疱、脂肪やボリュームの減少、瘢痕、感覚異常、筋力低下、視覚変化、数か月続く神経症状が含まれます。ここにはUlthera Systemの報告や微小集束超音波の文献が含まれ、自発報告からは発生頻度や機器との因果関係を確実に推定できません。臨床評価の通常経過と、市販後に報告された症状は分けて読む必要があります。PRIME使用説明書 ↗

Thermageの米国安全情報では、施術中の軽度〜中等度の痛み、通常24時間以内の赤み、通常5日以内の腫れが記載されています。ただし腫れは数週間続く場合もあります。頻度の低い項目として、熱傷・水疱・かさぶた・瘢痕・凹凸・感覚症状・一時的麻痺・結節・皮膚色の変化も挙げられています。Thermage米国安全情報 ↗

同情報では、凹凸が施術後1か月以降に現れる可能性、感覚症状や一時的麻痺が数週間続く可能性も説明されています。皮膚が濃くなる変化は通常数か月、主に首にみられる結節は通常1〜2週間で解消すると記載されており、赤みや腫れだけで経過を捉えることはできません。Thermage米国安全情報 ↗

「禁忌」と「未評価・未研究」も別です。 禁忌は使用しない条件として示される一方、未評価・未研究は、その条件で使用できると確認されたことを意味しません。公式資料の区分は次のとおりです。

条件の区分PRIMEの米国使用説明書Thermageの米国安全情報
禁忌・使用しない条件施術部位の傷・病変、重症・嚢胞性にきび、作動型インプラント、施術部位の金属インプラント電気的インプラントがある場合
インプラント・フィラーに関する未評価等機械的インプラント、フィラー、乳房インプラントの直上は未評価で推奨されないフィラー上の使用は未研究
妊娠・授乳・小児未評価未研究
疾患・治療などの未評価等抗凝固治療、出血・止血障害、創傷治癒に影響する活動性の全身・局所皮膚疾患、単純ヘルペス、自己免疫疾患、糖尿病、てんかん、ベル麻痺は未評価糖尿病、自己免疫疾患、口唇・性器ヘルペス、てんかん、入れ墨・アートメイクは未研究

出典:PRIME使用説明書 ↗・Thermage米国安全情報 ↗。この表は資料の条件を整理したもので、個人の適応を判定するものではありません。

目の周辺にも固有の条件があります。PRIMEは超音波が眼に届く使い方を避けるよう警告しています。Thermageは3.0・4.0cm²のTotal Tipを眼の上に使わないこと、眼の治療では適切なプラスチック製眼球保護具を用いることを示しています。「目元にも使う機器」という説明だけでは、チップや使用方法の条件まで確認したことにはなりません。PRIME使用説明書 ↗・Thermage米国安全情報 ↗

出典と確認日

記述の根拠をたどれるよう、参照先と確認日を掲載しています。

  1. Ulthera System Instructions for Use — Ultherapy PRIME、©2026 ↗確認日 2026-11-03 · 出典1
    確認に使った記述
    This acoustic energy heats tissue as a result of frictional losses during energy absorption, producing discrete points of coagulation.
  2. FDA — Thermage FLX System K170758 ↗確認日 2026-11-03 · 出典2
    確認に使った記述
    The Thermage FLX System delivers RF energy for selective coagulation of tissue while conductively cooling the epidermis.
  3. Thermage — 米国公式安全情報 ↗確認日 2026-11-03 · 出典3
    確認に使った記述
    Swelling may occur and typically resolves within 5 days, but can remain up to several weeks.
  4. FDA — Ulthera System (UC-1 Control Unit PRIME) K233996 ↗確認日 2026-11-03 · 出典4
    確認に使った記述
    Decision Date 02/22/2024 Decision Substantially Equivalent (SESE)
  5. 厚生労働省 — サーマクールの改造チップに関する注意喚起 ↗確認日 2026-11-03 · 出典5
    確認に使った記述
    今回確認された事例では、医師により、シワとり等の美容の目的で輸入され、使用されている美容医療機器の改造チップが使用された結果、その破損により健康被害(やけど)が発生しています。
  6. 厚生労働省 — 医師免許を有しない者が行った高密度焦点式超音波を用いた施術について ↗確認日 2026-11-03 · 出典6
    確認に使った記述
    医師免許を有しない者が業として行えば医師法第17条に違反すること。
  7. 韓国MFDS — 수허09-1024호 公開検索結果 ↗確認日 2026-11-03 · 出典7
    確認に使った記述
    수허09-1024호 3 정상 A35100.03 Ulthera system, Ulthera Prime, Ultherapy Prime Ultherapy Prime 2009-10-13
  8. 韓国MFDS — 수허18-245호 公開検索結果 ↗確認日 2026-11-03 · 出典8
    確認に使った記述
    수허18-245호 3 정상 A35010.01 Thermage FLX System, 써마지FLX, 써마지 TG-3A 2018-08-21
  9. Merz Aesthetics Korea — ULTHERAPY PRIME ↗確認日 2026-11-03 · 出典9
    確認に使った記述
    집속된 초음파로 조직을 응고하여 눈썹, 늘어진 턱선, 가슴윗부분을 리프팅하고 가슴윗부분(Decollete)의 주름(wrinkles)을 개선하는데 사용하는 의료기기
  10. 湘南美容クリニック — PRIMEに関する2026年1月16日の公開文 ↗確認日 2026-11-03 · 出典10
    確認に使った記述
    なお、日本国内においては薬事未承認の医療機器となりますが
  11. 東京美容皮膚科クリニック — サーマクールFLX ↗確認日 2026-11-03 · 出典11
    確認に使った記述
    薬機法上の承認について この治療法で用いられる医薬品・医療機器は国内においては薬機法上の承認を受けていません。

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更新と訂正

この公開版: 2026.11.04 / 0b8237928ba2

  1. 2026.11.04 · 初版 · 0b8237928ba2
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